マーベルライバルズのeスポーツに対する取り組み:カジュアルとの両立を目指す戦略
NetEaseが手がけるTPSヒーローシューター『Marvel Rivals』は、リリース後すぐにカジュアルかつカオスな楽しさで多くのファンを獲得しました。しかし一方で、公式トーナメントの開催などeスポーツ的な展開も進行中です。どのようにして「気軽に楽しめる雰囲気」と「競技性」を両立させていくのか、開発陣がインタビューにて語りました。
開発チームの考え方:カジュアルと競技を共存させる
Q: 『Marvel Rivals』はカジュアルで楽しい体験が人気を集めていますが、すでに大会やeスポーツへの期待も膨らんでいます。どうやって競技性を高めながら、この楽しいカオス感を維持するのでしょう?
A:
「実は、この問題をより広い視点で考えています。私たちは競技モードや大会を導入すると同時に、クイックプレイとも共存させたいと考えています。他の成功しているタイトルでも、競技環境とクイックプレイ環境を同時にうまく機能させている例が多いので、それらを参考にしながら、両方のプレイヤープールが活発に楽しめるよう工夫していきます。」
Q
「ゲームバランスの哲学についてお聞きしたいのですが、強いヒーローを修正する場合、最高レベルのプレイヤーたちのデータを参考にするのがいいと思いますか? それとも大会の結果に基づいて修正するべきでしょうか? あるいはカジュアルプレイヤー体験を保つことを優先しますか?」
A
「私たちのチームとしては、あらゆるタイプのプレイヤーが自分なりに楽しめるゲームを作りたいと考えています。だからこそ、大会結果かクイックプレイかのどちらかに偏るのではなく、すべてのモードでのヒーロー使用状況を広い視点で見て、全体的なバランスデータを重視します。さらに、私たちはより上位のランクマッチや大会にバン/ピックシステムを導入しました。これは競技プレイヤーにとって戦略の幅を広げるもので、試合ごとにどのヒーローを採用するか、更に考える要素が増える仕組みです。」
このように、開発チームはクイックプレイの「気軽に楽しむ層」と、より競技的な大会やランクマッチを重視する「真剣勝負派」の両立を目指しているようです。他の成功例を参考にしつつ、「片方だけが盛り上がり、もう一方が過疎化する」状況を避けることが課題と言えます。
具体的な展開:esportsとカジュアルの共存
- トーナメントや公式大会の運営: 競技シーンを盛り上げるためのイベントを継続的に開催。上位層プレイヤーが真剣に競う場を提供。
- クイックプレイでのカジュアル要素: 初心者や息抜きプレイヤーでも楽しめるよう、エントリーの敷居を低く保つ。
- 他タイトルを参考に: ランクマッチとカジュアルマッチ両方の人口を維持してきた他作品の手法を取り入れる。
- 多角的なデータ分析:トーナメントだけでなく、クイックプレイや全プレイヤー層のデータを参照してヒーローの強弱を判断する。
- バン/ピックシステム:上位ランクや公式大会に導入され、ヒーローの選択を制限したり、敵チームのキーヒーローを禁止したりすることで戦略性を高める仕組み。
『Marvel Rivals』では既にいくつかの公式トーナメントが実施されており、eスポーツ的な熱量をさらに加速させようとする動きが見受けられます。一方、アップデートで導入される新モードやイベントなどはカジュアル層も気軽に参加できるよう設計され、両者が共存する仕組みを整えています。
こうした方針により、カジュアル層は“気軽に遊べる”楽しさを損なわない一方、競技志向のプレイヤーは自分たちの力量をフルに発揮できる環境を手に入れられるわけです。
まとめ:両極のプレイヤーを取り込む戦略
『Marvel Rivals』の開発陣は、クイックプレイの楽しさを損なわずに競技性を高めることを最優先課題に掲げています。大規模大会やプロ向けモードがあっても、カジュアル層を放置するのではなく、両方の層が満足できるような施策を継続的に進める方針を明言。
また、「競技大会の結果だけに偏るのではなく、全体のデータを見ながらバランスを取る」姿勢を示しています。上位マッチと大会で採用されるバン/ピックシステムが、競技性を高めつつも、カジュアル層の楽しさを維持する鍵になりそうです。
ライブサービスゲームとして進化を続ける『Marvel Rivals』が、eスポーツシーンとカジュアル層の両方をどう維持・拡大していくのか、今後の展開に注目が集まります。